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お知らせ

 

病院情報の公開

平成27年度 新京都南病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞のICD10別患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 - 34 102 98 153 209 464 731 795 344
 新京都南病院は主要道路に面し、鉄道、バスともに徒歩約10分内に最寄り駅のある比較利便性高い24時間対応の急性期医療を中心とした活動を行っている地域の中核病院です。当院の主要な医療圏は下京区・南区・右京区(約80%)です。入院される方々の入院経路は、予定外入院が約76%(救急車の搬入からが約39%、一般診察や時間外診察からが約37%)、予定入院が約24%となっています。当院では、当院のかかりつけの有無を問わず、積極的な救急要請および、独歩による受診希望の受け入れをしています。当院に入院された方々で、過去に当院での入院歴がある方とない方の割合に目立った差がなく、また、当院の主要医療圏や各世代にとらわれない救急症例へ取り組みがこの結果と考えます。なお、予め外来などで入院前の検査をし、入院で所定の手術や処置を入院でする予定入院では、総合病院として各科で各疾患に対応可能な体制で臨んでいます。
 当院の年齢階級別退院患者数については、60~90代の方が約80%を占めています。平成2~26年の京都市の推定人口では、60~90代の人口分布が経年的に延びており、当院の主要な医療圏でも同様の変化があります。また、京都市消防局から発表されている救急車出動件数の推移からその件数は平成17~26年で経年的な増加があります。また、今後、構成者層の出動件数は増加すると予測されています。当院の救急統計によると60~90代の救急搬入は全体の約60%であり、内入院を要する方は2人に1人上となっています。京都市のみならず高齢化に向かっている社会情勢を反映したものと考えます。一方で、下京区は比較的若年者層の割合が高く、また、当院の若年者層の割合も決して低くありません。当院の救急症例へ取り組みや立地条件が働き盛りの若年者層の方々に対する受診のしやすさにつながった結果と考えます。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 141 12.4 21.7 1.5 83.4
180010x0xxx0xx 敗血症(1歳以上) 67 12.7 19.0 0.6 79.0
040080x099x0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳以上) 62 7.7 14.3 0.2 69.4
 急性期医療機関である当院では感染症、とりわけて肺炎が多くなっています。高齢者の肺炎は多くが不顕性誤嚥による肺炎であり、高齢者層の多いことから誤嚥性肺炎が多くなっていますが、それ以外の方でも肺炎が多くなっています。また、全身の感染症により重篤な状態になって入院される敗血症の数も多くなっています。なお、敗血症とは何らかの感染症によって発熱・呼吸状態・心拍数・白血球数のうち少なくとも2つが一定基準を満たした状態を指します。この病態は多臓器障害やショック状態に陥る場合があります。
 当院ではいずれの病態も血液や喀痰などの培養検査で起因菌を検索し、適切な抗菌薬を投与することなどにより、全国の平均在院日数より短期間で入院急性期治療を終了しています。しかし、病状の過程でADL(日常生活動作)が低下される方がみられます。この様な場合は、引き続きADLを上げるリハビリテーションなどの治療が必要になります。当院ではADLの低下した方々には、亜急性期医療機関への早期転院の調整も積極的にすすめています。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160690xx99xx0x 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 31 10.1 21.5 0.8 82.8
060040xx99x60x 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 30 1.4 4.5 0.0 45.3
060160x003xx0x 鼠経ヘルニア 19 4.9 5.0 0.0 61.9
【160690xx99xx0x:胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。)】は、胸椎または、腰椎の打撲を除く外傷(捻挫や骨折など)で、手術をしない保存的加療による診断群分類です。2015年度、新京都南病院に救急車搬入された約45%の方が入院をされています。その約半数が何らかの外傷によるものです。搬送され入院された方々の外傷の原因は、転倒によるものが約64%そのうち受傷部位の約13%が腹部から腰背部です。これは転倒によるものの中で3番目に多い受傷部位となり、高齢の方々で多くみられます。この分類の入院は胸椎の損傷は約45%、腰椎は約55%、ほとんどが転倒での外力による椎体の圧迫骨折です。高齢の方々の場合、軽微な転倒でも骨粗鬆症などの骨の脆弱性から容易に発生しています。骨折箇所は第12胸椎と第1腰椎の胸腰椎移行部を中心に多くみられます。当院ではおおよよ2日以内にMRIなどによる画像検査を行い、鎮痛薬などの処方と安静による保存的な治療を行います。高齢の方々の長期間の安静は、体力の低下や認知機能の低下を引き起こす場合があります。当院では、早期からのリハビリテーションのため必要に応じて近隣医療機関との密な連携のもと速やかな転院の調整も行っています。

【060040xx99x60x:直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍】は、直腸癌から肛門までの癌に特定の分子の機能を抑制する分子標的薬を含めた化学療法(抗癌剤)による治療を受ける方々の診断群分類です。該当する分子標的薬は、パニツムマブ(ベクティビックス点滴静注100mg)、セツキシマブ(アービタックス注射液100mg)、ベバシズマブ(アバスチン点滴静注用100mg/4mLやアバスチン点滴静注用100mg/4mL)、レゴラフェニブ水和物(スチバーガ錠40mg)が含まれています。このうち、2015年度のこの診断群分類で使用された分子標的薬は、セツキシマブ(アービタックス注射液100mg)が約43%、ベバシズマブ(アバスチン点滴静注用100mg/4mLやアバスチン点滴静注用100mg/4mL)約56%でした。医師の管理の下、必要とする方々の状態合わせて定期的な投与を行っています。

【060160x003xx0x:鼠径ヘルニア】鼠径ヘルニアの診断群分類です。鼠径ヘルニアとはいわゆる脱腸と呼ばれる疾患のことで、腹膜や腸の一部が鼠径部の筋膜の間からはみだして、皮膚の下に出てくる鼠径部の病気です。はみ出す箇所によって、外鼡径ヘルニアと内鼡径ヘルニアに分かれます。両方とも治療方法は、全身麻酔下で腹腔鏡を用いて修復・補強する手術が主に行われます。予定手術の場合には、手術に当たって術前検査を入院までに行い、入院翌日に手術を受けていいただき、術後2~3日後に経過をみて、退院の運びとなります。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節大腿近位骨折 76 25.4 28.7 2.1 82.1
160820xx01xxxx 膝関節周辺骨折・脱臼 15 27.9 30.0 0.2 60.7
160760xx97xx0x 前腕の骨折 10 4.3 5.7 0.0 55.3
 2015年度、新京都南病院に救急車搬入された約45%の方が入院をされています。その約半数が何らかの外傷によるものです。搬送され入院された方々の外傷の原因は、転倒によるものが約64%で、そのうち受傷部位の約20%が股関節や大腿部です。これは転倒によるものの中で2番目に多く、骨や関節などを損傷するケースは、少なくありません。
 【160800xx01xxxx股関節大腿近位骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等】の多くが高齢の方々です。股関節大腿近位骨折は、骨折箇所で外側骨折(転子部や転子下の骨折)と内側骨折(骨頭部や頚部)に分かれます。上記表のうち、大腿骨転子部骨折は約51%で、大腿骨頚部骨折は約45%でした。前者に比べ後者の方が難治度の高い骨折とされます。
 また、転倒による受傷箇所は、当院では各四肢が各約7%ずつとなっており、そのうち【160820xx01xxxx膝関節周辺骨折・脱臼 骨折観血的手術等】は大腿骨の遠位端や膝蓋骨、脛骨の近位端および、下腿の多発骨折の診断群分類で、若年者層の割合が高いことが特徴です。当院では多い順で膝蓋骨、大腿骨遠位端、脛骨近位端となっています。
 下肢の骨折治療は、手術的に専用の器具を用いて内固定をするなどを行います。手術的な治療の目的は、また歩けるようにするなど受傷前の日常生活動作(ADL)に出来るだけ戻すことです。よって、手術後は、受傷部位の荷重の調整を行いながらの歩行訓練など様々なリハビリテーションを行い、骨折箇所に近い関節を動かしたり、筋力トレーニングも併せて行います。しかし、現在は国家政策として手術を行う医療機関とその後を担う医療機関で役割分担する仕組みとなっています。急性期医療機関で医療保険上、長期間の入院が難しくなっています。そこで、当院では急性期入院治療後、必要に応じて隣医療機関との密な連携のもと、更なるリハビリテーションのため転院の調整も行っています。
 【160760xx97xx0x前腕の骨折前腕の骨折 手術あり 定義副傷病なし】は、以前転倒などで手を突いた際に起きた前腕の骨折への内固定物の抜去に対する分類で、前腕の骨折へ術後も外来診療で経過観察をし、骨癒合の完成を確認後に行っています。
なお、転倒の原因が歩行障害やてんかんなどの内科的疾患による場合もあり、必要に応じて他科とも連携をして転倒の原因の治療にもあたっています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 12 3.3 7.5 0.0 65.5
160100xx99x01x 頭蓋・頭蓋内損傷 12 8.7 21.9 0.1 74.8
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 10 4.1 10.0 0.0 80.1
 2015年度、新京都南病院に救急車搬入された約45%の方が入院をされています。その約半数が何らかの外傷によるものです。搬送され入院された方々の外傷の原因は、転倒によるものが約64%で、そのうち頭部の外傷が約28%となっています。これは転倒によるもの中で最も多くなっています。上位3つの頭蓋・頭蓋内損傷の160100xx99x00xは、保存的な加療を指します。一方で、160100xx99x01xは、保存的な加療の経過でてんかんや排尿障害などの症状や既往がある方々を指します。また、160100xx97x00xについては主に創傷処理(縫合)など行った方々です。なお、頭蓋・頭蓋内損傷の診断群分類が扱う傷病の範囲は広く、頭部打撲や挫創から骨折、急性から慢性期までの外傷性の頭蓋内出血など頭部外傷広い範囲が対象となっています。頭部の外傷で頭蓋内の出血は、遅発的に起こることがあります。頭部の病態は、早期の対応を要し、また、転倒の原因が歩行障害や意識障害など別の神経疾患による場合もあります。当院では、それらに対応するため頭部CT(コンピューター断層撮影法)はさることながら、特にMRI(磁気共鳴映像法)・MRA(磁気共鳴血管造影)の実施を24時間体制で行っています。また、必要に応じて各種検査を行って、他科とも密な連携のもと治療にあたっています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 14 - - 28 - - 1 7
大腸癌 - - 21 47 - - 1 7
乳癌 - - - - - - 1 7
肺癌 - - - - - 13 1 7
肝癌 - - - - - - 1 7
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
 上記統計は、初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発例の退院延べ人数を表したもので、10例以下は個人情報関係上、「-」で表示されています。
癌(悪性腫瘍)とは、がん細胞が自律的に勝手に増殖を止まることなく続け(自律性増殖)、周囲に浸潤や転移して、栄養を奪って、身体が衰弱してしまう病気です。がんの治療方法としては、手術や化学療法、放射線療法、緩和ケア、経過観察などがありますが、それらの方針は、がんの病期によって定まります。がんの病期は、がんの壁深達度や大きさ・数(T)、リンパ節への転移の数や場所(N)、原発巣からの転移(M)の状態の組合せで決定されます。ⅠからⅣ期にかけて癌の進展度が上がります。がんの病期に加えて、がん細胞の種類や性質を考慮して治療方針が決定されていきます。
 当院で行う手術については、鏡視下や開胸・開腹手術、内視鏡的手術があります。また、化学療法もガイドラインに則って行っています。また、併せて放射線療法が必要な場合は、他医で放射線療法を行えるよう段取りをし、治療の切り目がない治療の継続にも努めています。
上記統計では、Ⅰ期の方々の退院延べ人数が少なく、Ⅳ期の方々多くなっています。胃癌例ではStageⅠ~Ⅲであった場合、手術後に主に外来で経過観察や補助化学療法を行うため再入院をされることが少なくなっています。一方でStageⅣでは、入院で定期的に化学療法を行うことがしばしばあります。これは大腸癌例のStageⅢ~Ⅳの方々にも同様のことがいえます。以上から、当院では入院外来通じて一連で行えるがん治療の体制をとっていることが、上記統計につながっていると考えます。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
重症度 0 13 6.2 56.3
重症度 1 27 10.6 60.3
重症度 2 15 7.6 77.2
重症度 3 18 14.8 79.7
重症度 4 - - -
重症度 5 - - -
不明 - - -
 肺炎の分類は、成人市中肺炎、院内肺炎、医療介護関連肺炎の3つに分類されます。
ここでは、市中で日常生活を送っている方々が医療機関や介護関連施設など以外で感染し、発病した肺炎を対象としています。
成人市中肺炎の重症度はA-DROPを使用しています。A(Age):年齢、D(Dehydration):脱水症、R(Respiration):呼吸、O(Orientation):意識障害、P(Pressure):収縮期血圧の頭文字の項目ごとに一定基準に該当すると1点を加算し、5点満点で構成される肺炎の重症度分類です。0点:軽症、1~2点が中等度、3点が重症、4~5点が超重症となります。
 当院の傾向として、年齢層に対してR(呼吸不全)、D(脱水症)、O(意識障害)の順に組み合わさることが多く、とりわけ、高齢者層に伴ってR(呼吸不全)、D(脱水症)のいずれかが重症度が高くなるごとに結びつきが強くなる傾向があります。重症度が高いことは、在院日数が延びる要因の一つですが、肺炎の重症度が軽度であっても、これが発症したことでもともとの慢性疾患などがそれに影響され、ADLの低下などから在院日数が延びることもみられます。
なお、4~5点の超重症である方々は、高齢者の肺炎は多くが不顕性誤嚥による誤嚥性肺炎であることが多く、この統計ではない医療介護関連肺炎であったと考えられます。
脳梗塞のICD10別患者数等ファイルをダウンロード
ICD10 傷病名 発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
G45$ 一過性脳虚血発作及び関連症候群 - - - - -
G46$ 脳血管疾患における脳の血管(性)症候群 - 14 11.6 79.3 0.2
I63$ 脳梗塞 - 38 16.1 78.9 0.3
I65$ 脳実質外動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの - - - - -
I66$ 脳動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの - 29 7.9 75.4 0.2
I675 もやもや病<ウイリス動脈輪閉塞症> - - - - -
I679 脳血管疾患,詳細不明 - - - - -
脳梗塞とは、脳を栄養する動脈の閉塞や狭窄で脳の血流障害をきたしてその支配領域の脳組織が機能不全に至る病気で、意識障害や運動麻痺、構音障害、めまいなどがでます。
 要介護者の約30%を脳梗塞等の脳卒中がしめるため、後遺症を少なくするため発症早期の迅速な対応が重要です。脳梗塞の原因は、高血圧症や糖尿病、高脂血症等の生活習慣病や不整脈・心臓弁膜症などの心疾患が主な原因です。脳梗塞は、「ラクナ梗塞」、「アテローム血栓性脳梗塞」、「心原性脳塞栓症」、「その他のもの」に臨床的に病型分類されます。脳梗塞の予後をよくするためには、発症~受診時間の短縮以外に、正確な病型診断と最適な治療法の選択、併存疾患を含めた全身的管理が必要になります。
当院の多くは、3日以内に発症した脳梗塞(G46$とI63$)です。当院では、早期に責任病変の検索するために頭部CT(コンピューター断層撮影法)はさることながら、特にMRI(磁気共鳴映像法)・MRA(磁気共鳴血管造影)の実施を24時間体制で行っています。また、それに加えて、おおよそ2日以内に血液検査、心臓や頚動脈の超音波検査、ホルター型心電図などの精密検査を行い適切な病型診断に努めています。同時に発症24時間以内の脳梗塞症例(主に上記分類:I63$ 脳梗塞)においては、その進行を防ぐため積極的に脳保護剤を投与し、また、脳梗塞の病型分類や症状に適した抗血栓薬を選択し、早期リハビリテーション行っています。
なお、当院では脳梗塞など上記統計にかかる方々の入院急性期治療後、回復期リハビリテーションや脳卒中の二次予防ため近隣医療機関との密な連携のもと転院の調整を行うことなどにより、平均在院日数は、11.7日となっています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード
内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493  経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 36 1.8 5.6 0.1 71.8
K721-21 内視鏡的大腸ポリープ切除術(長径2cm未満) 15 2.4 2.1 0.0 78.8
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他) 14 1.4 8.0 0.0 74.3
【K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他)】は大腿部や前腕部、上腕部からカテーテルという管を入れて、心臓の冠動脈が狭窄などした部分に小さな風船状のもので血管を膨らませて、その部分に金属で出来た筒状の金属(ステント)で補強する手術です。
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他)は、安定狭心症や慢性虚血性心疾患など冠動脈疾患による自覚症状や予後の改善のために行います。冠動脈疾患は、高血圧症や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病による動脈硬化症から心臓の冠動脈が狭くなるなどして、心筋虚血が起こると胸の痛みや苦しさや心臓の働きや動きが悪くなります。自覚症状の改善のためには、まず初期治療として抗狭心症薬などを処方し、それでも症状が改善しない場合に行います。また、予後の改善のためには、内服薬の処方などに併せて冠動脈に対する危険因子に対する指導などで経過観察しますが、そのままを長く放置すると場合によって働きなどが悪くなった心臓から血栓が頭に飛び脳梗塞を発症したり、冠動脈が完全に塞がって心筋が壊死する心筋梗塞になり重篤な状態になる場合があり、それらを未然に防ぐこと目的とする場合です。
この手術は主に予定入院で行っています。この場合は、外来で入院当日までに運動負荷心電図等の術前検査で精査の上、入院当日に手術を受けていただき、問題がなければ翌日に退院できます。なお、当院では、不安定狭心症や心筋梗塞における急性冠症候群など急性期への対応できる体制で臨んでいます。

【K721-21 内視鏡的大腸ポリープ切除術(長径2cm未満)】は、内視鏡により大腸にできたポリープを切除する手術です。基本的には日帰りで受けていただける手術ですが、大きなポリープを切除する時は、術後出血などを合併することがあるため、入院で経過をみさせていただく場合があります。切除したポリープは組織検査で症姓・悪性などの診断をします。結果は、1週間から2週間でわかります。万が一、悪性の場合は、追加治療が必要になる場合があります。

当院で行われる【K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他)】は、主に腹部領域のもので、とりわけ肝腫瘍に栄養を送っている血管を塞いだり、抗癌剤などの注入をカテーテルという管を血管に進めて行う手技です。肝動脈塞栓術(TAE:transcatheter arterial embolization)や肝動脈化学塞栓療法(TACE:transcatheter arterial embolization)などといわれる肝腫瘍に対する治療法の一つです。治療後に発熱などを合併することがあり、術後に1週間前後入院していただくことが多いです。また、当院では、肝腫瘍以外にも外傷も含めた各臓器の出血や脾機能亢進症などに対して行っています。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 32 0.9 4.0 0.1 68.3
K672 腹腔鏡下胆嚢摘出術 32 0.6 9.2 0.1 67.0
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 19 1.7 12.5 0.0 70.1
 【K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側)】は、鼠径部の筋膜の間から腹膜や腸管がはみだして、皮膚の下に出てくる鼠径部の病気に対する手術のことです。はみ出す箇所によって、外鼡径ヘルニアと内鼡径ヘルニアに分かれます。両方とも治療方法は、全身麻酔下で腹腔鏡を用いて修復・補強する手術が第1選択になります。腹腔鏡下手術は腹部にトロッカーと呼ばれる管を挿入して、その管の中に通した手術器具にて腹腔鏡による画像を見ながら、目的臓器を摘出や切除します。腹腔鏡で手術を行う利点は、従来の鼠径部の手術に比べて低侵襲で、術後の疼痛が少なく美容的にもよいことが上げられます。予定入院での手術の場合は、手術に当たって術前検査を入院までに行い、入院翌日に手術を受けていいただき、術後2~3日後に経過をみて、退院の運びとなります。

 【K672 腹腔鏡下胆嚢摘出術】は、胆のう炎や胆のう結石症、胆嚢ポリープなどの胆嚢疾患に対して行う手術です。主に腹腔鏡下での手術となります。腹部にトロッカーと呼ばれる管を挿入して、腹腔鏡による画像を見ながら、胆嚢を摘出します。腹腔鏡で手術を行う利点は、開腹手術よりも低侵襲で、術後の疼痛が少なく美容的にもよいことが上げられます。胆のう炎を伴わない胆のう結石症や慢性的な炎症によるもので症状が比較的安定しているものは、予定入院により行われます(当院では約40%)。一方、急激な症状を来した急性胆のう炎や急性胆管炎、敗血症などを合併し、内科的な治療で症状を抑えた後に行う胆のう結石症や胆のう炎に対する手術は、予定外入院で行っています(約60%)。この様な場合は、外科と内科で連携をとりながら治療を進めていけるよう、24時間対応可能な体制で臨んでいます。

 結腸は、盲腸部から直腸上部までの腸管をさします。【K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術】は、その部分に発生した悪性腫瘍(主に癌)対して行われる腹腔鏡下の手術のことです。手術は腹部にトロッカーと呼ばれる管を挿入して、その管の中に通した手術器具にて腹腔鏡による画像を見ながら、腫瘍を摘出します。腹腔鏡で手術を行う利点は、開腹手術よりも低侵襲で、術後の疼痛が少なく美容的にもよいことが上げられます。癌(悪性腫瘍)とは、がん細胞が自律的に勝手に増殖を止まることなく続け(自律性増殖)、周囲に浸潤や転移して、栄養を奪って、身体が衰弱してしまう病気です。癌の進展度によって、切除範囲や治療方針も異なります。そのため、主に外来診療で各種検査を受けていただき治療方針を決めていきます。手術となれば、手術の1~2日前に入院となります。術後は、臓器への病理診断を経て、その後の治療方針が定まります。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿 80 4.3 22.2 2.0 81.8
K0462 骨折観血的手術 前腕、下腿、手舟状骨 17 2.2 17.0 0.2 59.6
K0811 人工骨頭挿入術 肩、股 16 3.6 21.3 0.4 86.1
 【K0461 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿)】や【K0811 人工骨頭挿入術 肩、股】の対象となった診断群分類は、股関節大腿近位骨折が約89%、肩関節周辺の骨折脱臼が約21%でした。各手術の適用は骨折の型や骨折箇所、また、そのずれ具合などで決まります。【K0461 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿】は、骨折箇所をレントゲンで透視して、もとの形状にもどしながら様々な専用の器具や方法で固定し、骨を接合します。一方、【K0811 人工骨頭挿入術 肩、股】は骨折のずれが大きいなどで、もと形状にもどすことが困難な場合に骨折箇所から骨頭までを人工物に置き換える手術です。これは、外傷以外の骨頭壊死などにも行われます。また、【K0462 骨折観血的手術 前腕、下腿、手舟状骨】は、手部・前腕から下腿の骨折に対する手術で、【K0461 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿】と同様に骨折箇所をレントゲンで透視して、もとの形状にもどしながら様々な専用の器具や方法で固定し、骨を接合します。
3者とも主に全身麻酔下で行われます。手術に備えるにあたり入院後に約2~4日で全身的な精査を行い、必要な専門器具を準備し手術に臨みます。手術後は、骨折箇所への荷重管理などを行いながら、リハビリテーションを経て、必要に応じて隣医療機関との密な連携のもと、更なるリハビリテーションのため転院の調整も行っています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 12 0.8 7.2 0.1 85.1
K1643 頭蓋内血腫除去術(開頭)(脳内) - - - - -
K1342 椎間板摘出術(後方摘出術) - - - - -
 【K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術】は、慢性硬膜下血腫に対して行う手術です。脳および、脊髄は外側から順に硬膜・くも膜・軟膜の3層の髄膜で覆われています。主に頭部外傷後の数週間から数ヶ月後に硬膜とくも膜の間にできた血腫で脳が圧迫されることで運動麻痺や認知障害などが表れます。当院では主に高齢の方にみられ、CTやMRIで頭部外傷を契機に水腫から血腫に変化することもあります。手術の多くは局所麻酔で行います。専用の器具で頭部(硬膜)に小さな穴を開け、溜まった血腫を洗い流し、外へと抜き取るためのドレーンという管を入れます。当院では主に予定外入院で行われていますが、外来診療などを通じて予定・予定外の入院形態を問わずに必要に応じて、治療を行っています。 
 また、頭部外傷による慢性硬膜下血腫以外の頭蓋内出血(脳挫傷など)は、入院直後に増大することがあります。加えて、頭部外傷の原因がパーキンソン病や頚部など脊柱管狭窄症(脊椎が神経を圧迫する病気)を代表とする脊椎症などによる歩行障害や生活習慣病による脳出血や脳腫瘍による意識障害など別の神経疾患による場合があります。当院では、それらに対応するためCT(コンピューター断層撮影法)はさることながら、特にMRI(磁気共鳴映像法)・MRA(磁気共鳴血管造影)の実施を24時間体制で行うなどして症状の責任病変の検索にも努めています。その場合は、必要に応じて【K1643 頭蓋内血腫除去術(開頭)(脳内)】や【K1342椎間板摘出術(後方摘出術)】なども含めた頭蓋・神経系各種の手術も行っています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 39 1.3
異なる 50 1.7
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 25 0.9
異なる - -
 DPC/PDPSとは、包括支払制度のことを指します。1入院で『医療資源をもっとも投入した傷病名』(以下、資源病名)に対して1日ごとの所定の診療報酬を算定する制度です。『資源病名』は薬剤などだけでなく、治療にかかった全てから入院中の主要な傷病名や病態に基づいて退院時に決定し、所定の診断群分類に対応します。上記表においては傷病名の項に該当します。
 この算定制度の傷病名の表示は、『入院の契機となった傷病名』(以下、契機病名)や『資源病名』などを含めた最大数12個(2016年度からは最大24個)までです。『契機病名』とは、今回の入院で治療する必要がある傷病名を指し、上記表においては入院契機の項に該当します。
 上記表の敗血症と手術・処置等の合併症について解説をします。
 敗血症は、何らかの感染症によって発熱・呼吸状態・心拍数・白血球数のうち少なくとも2つが一定基準を満たした状態を指します。多臓器障害やショック状態など重篤な症状に陥る場合があり、重症感染症の状態です。高齢の方や心疾患・腎疾患、慢性疾患などにより免疫力やADLが低下している方がこの状態になることが多く、発生原因の上位3つとしては、腎・尿路系が約33%、呼吸器系が約28%、その他が約39%となっています。感染症で入院され、結果、重篤な経過をたどったことが契機病名と資源病名に違いが表れたものと考えられます。
 次に手術・処置等の合併症の診断群分類について先に説明します。これは、医療過誤や医療事故によるものではなく、この診断群分類に含まれる当院に代表される傷病名は、慢性維持透析の出入り口に使用する透析シャントの狭窄や閉塞や、当院や他院で体内に挿入した医療器具の何らかの障害などで、当院では慢性維持透析の出入り口に使用する透析シャントの狭窄や閉塞が全体の約50%を占めます。この診断群分類については、平均の在院期間が8.5日と短いことが契機病名と資源病名に違いみられなかったと考えられます。
更新履歴
2016.9.30
初版